留学テスト


01. JLPTというのはどのような試験ですか。

[答] JLPT はJapanese Language Proficiency Testの頭文字です。Proficiencyとは上達、熟達、習熟を意味します。日本語では「日本語能力試験」と言います。日本語を母語としない方を対象にした試験で5つのレベルの試験があります。N5が一番下のレベルでN1が一番上のレベルです。

・ JLPT は日本国内では例年7月の第一日曜日と12月の第一日曜日に行われています。海外でも行われていますが、国や場所によって年2回のところもあれば年1回のところもあります。

・ レベルの目安を会話レベルでざっと見ると

·         N5 – まだまだ片言のサバイバルレベルで英語がたくさん混ざる

·         N4 – なんとか会話ができるけれどもまだまだ不自由

·         N3 – だいぶ慣れてきて日常的なことは結構話せる

·         N2 – 知らない言葉や表現もあるけれど、日本人が普通に話してもほぼわかってもらえる

·         N1 – 結構、難しい言葉を知っていたり、本や新聞を読んでディスカッションしたりできる

しかしながら、実際には試験の合格ラインもさほど高くありませんし、読みと聴解のみの試験ですので、会話力が伴わないことがよくあります。

・ 2009年までは4級〜1級の4段階でした。級とNの関係は次のようなイメージです。

·         4級 → N5

·         3級 → N4

·          N3 (新しいレベル)

·         2級 → N2

·         1級 → N1

公式ホームページ → http://www.jlpt.jp/

02. JLPT N1からN5の違いをもう少し詳しく教えてください。

[答] まず、N5からN1の違いはこちらをご覧ください。

N1レベル

【意思疎通】どのような場面・話題においても意思疎通に支障がない。対人関係に応じた適切な表現の使い分けができる。相手の話すことが正確に理解できる。
【読み】幅広い話題の複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで理解できる。
【聞き】幅広い場面で会話やニュース、講義を聞いて、論理構成を詳細に理解できる。
【例】~たりとも。~どころか。~とはいえ。~までもない。~を余儀なくされた。~よりましだ。~にもまして。~ようにも~ない。~ようが~まいが。~とは言わないまでも。~ものでもない。~をもって。~なりに。~くらいなら。~たところで。~ではあるまいし。~ゆえに。~すら。

N2レベル

【意思疎通】幅広い場面・話題において一部、問題はあるが、意思疎通には支障がない。場面や対人関係に適した表現の使い分けがある程度はできる。相手の話すこともおおむね理解できる。
【読み】新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など明快な文章を読んで理解できる。
【聞き】幅広い場面でまとまりのある会話やニュースを聞いて要旨を把握できる。
【例】~をもとに。~する一方です。~つつあります。~割には。~かねない。~ざるを得ない。~がちです。~に応じて。~た上で。~する恐れがあります。~しがたい。~次第で。~ようがない。~にもかかわらず。~どころではない。~のみならず。~にほかならない。~するばかりだ。

N3レベル

【意思疎通】限られた場面・話題において意思疎通ができる。語彙・表現の理解の不足が意思疎通を妨げることがある。
【読み】日常的な話題について書かれた具体的な内容を表わす文章であれば読んで理解できる。
【聞き】日常的な場面における自然に近いスピードの会話を聞いておおむね理解できる。
【例】~ていただけませんか。~てもよろしいでしょうか。~させていただきたいんですが。わざわざ~。~とは限りません。~わけではありません。~わけにはいきません。せっかく~。~さえ。~ば~ほど。必ずしも~。~ようとしたら。~たものの。一方、~。~さえ~ば。~くらいなら。~とおりに。

N4レベル

【意思疎通】基本文法の全般を理解しているが、語彙と表現力に限りがある。おおむね意思疎通ができるが、話題は限られる。
【読み】基本的な語彙や漢字(300字程度)を使って書かれた身近な話題の文章を理解できる。
【聞き】日常的な場面でゆっくりと易しく話される会話であればほぼ理解できる。
【例】~ておきます。~はずです。~ようです。~らしいです。~だそうです。~つもりです。~ようになります。~ために。~ことになります。~ことになっています。~のおかげで。~たり~たりします。~ながら。~なら。~のに。~てあります。~にとって。~ようとしています。受身、使役、使役受身、敬語

N5レベル

【意思疎通】日常生活の限られた場面・話題において、最低限の意思疎通ができる。既習の語彙と文法を駆使すれば様々なことを何とか伝えられるが、自然な速度での会話はまだ難しい。
【読み】ひらがなやカタカナで書かれた易しい文章を読んで理解することができる。
【聞き】教室や日常生活の短く易しい会話であれば必要な情報を聞き取ることができる。
【例】~たことがあります。~したほうがいいです。~と思います。~ので。~かもしれません。もし、~たら。~なければなりません。

N5からN3の違いを具体的な会話で見てみましょう。

【N5レベルの会話】

上司: この前の会議で話したあの新しいシステムはどうなりましたか。

トム: すみません。私はよくわかりません。

上司: そうですか。誰がするんですか。

トム: たぶん山本さんのチームだと思います。

【N4レベルの会話】

[ ]の中の表現がわかるようになります。太字が新しく加わった表現。

上司: この前の会議で[話した/出た/話し合った] あの新しいシステム[は/件は]どうなりましたか。

トム: [すみません/申し訳ございません]。私は[よく/詳しいことは]わかりません。

上司: そうですか。誰が[するんですか/することになったんですか/することになっているんですか]。

トム: [たぶん/確か]山本さんのチーム[だと思います/のはずです]。

【N3レベルの会話】

上司: この前の会議で[話した/出た/話し合った] [あの/例の]新しいシステム[は/件は]どうなりましたか。

トム: [すみません/申し訳ございません]。私は[よく/詳しいことは/詳細は]わかりません。

上司: そうですか。誰が[するんですか/することになったんですか/することになっているんですか/担当ですか/担当するんですか/担当することになったんですか]。

トム: [たぶん/確か/おそらく]山本さんのチーム[だと思います/のはずです/ではなかったかと思います]。

N2とN1の比較

「N5とN4が日本語の基礎」、「N3がその応用+α」であるのに対して、N2とN1は普通の日本語、大人の日本語に近づくレベルです。
N2とN1で学習したり使えたりするようになる文法表現の一部を比較してみましょう。

N2で学ぶ表現の例

1.       アンケートを基に~

2.       減少する一方です。

3.       食事どころではない。

4.       変わりつつある。

5.       ~のみならず~

6.       値段が安い割には〜

7.       ~あり得ない。

8.       起こりかねない。

9.       行かざるを得ない。

10.   間違えがちです。

N1で学ぶ表現の例

1.       一分たりとも~

2.       それどころか~

3.       それにひきかえ~

4.       涙を禁じ得ない。

5.       見るや否や~

6.       不景気とはいえ~

7.       出向いて相談するに限る。

8.       買うまでもない。

9.       倒産を余儀なくされた。

10.   ないよりましだ。

N2の文法にはビジネス会話でも普通に使われるようなものが多く、日本語でビジネスをするのであれば必要不可欠であると言えます。
一方、N1の文法には通常のビジネスではあまり使わないもの、また、小説や書物の中に使われるものが含まれています。
このように非常に大雑把に見ると、「N2文法はビジネスで必要な文法」、「N1文法は半分はビジネス、半分は文学作品や書物の中の文法」と言えると思います。

【N2, N1レベルの会話】

N2とN1レベルの方のビジネス会話の例は次のようになります。この例のような会話の中で、N1の方の方が、N2の方に比べてより間違いが少なく、難しいレベルを使えるのが一般的です。

顧客: お忙しいところ、申し訳ございません。今、少々、お時間を頂戴してもよろしいですか。

トム: はい。

顧客: 実は、昨日アップデートしていただいたシステムの件なんですが、今朝立ち上げてみたのですが、どうも情報がうまく反映されないようなんですが、どういうことでしょうか。

トム: そうですか。大変ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。では、詳しい状況をお教えいただけますでしょうか。

客: はい、今朝、こちらで支店のデータを確認しようとしたところ、データが入力されていないようだったので、支店に確認を取ってみたんです。そうしたら、支店のほうでは既に入力済みだということなんですね。で、どうも支店の方で入力したデータが、こちらで確認できないようなんです。

03. JLPTはいつ、どこで行われますか。また、どのように申し込むのでしょうか。

[答] 日本国内では全国45の主要都市で例年7月と12月の第一日曜日に行われています。海外でも行われていますが、国や場所によって年2回のところもあれば年1回のところもあります。申し込みは郵送とwebからの2つの方法がありますが、webからがお勧めです。

・ 申し込み時期がかなり早いのでご注意を。例年7月の試験の申し込みは3月、12月の試験の申し込みは9月いっぱいのような感じになっています。「申し込みをしようと思ったら、既に締め切りを過ぎていた」とか「締め切り間近に申し込みをしようとしたらネットがつながらない」ということもあります。早めに申し込みをすると、比較的近い試験会場で受験ができるとも言われているので、申し込むなら早めに済ませることをお勧めします。

・ 試験会場は大学になるようですが、地域を選択し、それによって受験会場がふりわけられるようになっています。

04. JLPTにはどのような問題が出ますか。会話力の試験や、面接試験があるのでしょうか。

[答] JLPTには会話力の試験も、面接試験もありません。

JLPTは「文字・語彙」「文法読解」「聴解」の紙の試験で全て4択問題です。

・N5からN1までに共通しているのは「文字・語彙」、「文法読解」、「聴解」を試験する問題だということです。問題のタイプ、試験時間、配点、合格ラインはレベルによってことなります。
こちらの表をご参考に。


01.png JLPT info

 

05. JLPTの合格ラインと合格率はどのぐらいですか。N1レベルになるとかなり合格するのが大変だと聞きました。

[答] 合格ラインはレベルによって異なります。

例えばN5の場合は総合で44%、N1は総合で55%で合格できます。合格率については国内のほうが国外より高く、N5の合格率60〜75%、N1の合格率は30〜45%になっています。

合格ラインはもう一度下の表をご覧ください。総合得点の合格ラインだけではなく、セクションごとに最低ラインがあり、それをクリアした上で総合得点が合格ラインをこえていなければならない、という仕組みです。


02.png JLPT info

 

・ 耳だけで日本語を覚えて聴解力があって聴解試験で得点をかせいでも、文字語彙や読解が悪かったら合格できません。逆に、漢字や読解だけできても、聴解力が極端に低かったら合格できません。

・ 合格ラインが44%とか55%とか言うと簡単そうに感じますが、実際N5の44%でも受験する方にとってはそれなりに難しく、N1の55%もかなり大きな壁となっています。「55%だったら、わからない時に全部1番を選んでおけば合格できるのでは」というものでもありません。

・過去の合格率のデータはこちらです。回によってだいぶ認定率が違っています。国内と海外の受験者の認定率の違いはやはり日本語環境にあるか否かであるといえます。
http://www.jlpt.jp/statistics/archive/201401.html

JLPT合格のために

06. JLPTに合格するにはどのぐらいの学習期間が必要ですか。

[答] 通常、ゼロから学習を始めて90分レッスン×週2回でN5まで約8ヶ月、N4までさらに約8ヶ月、N3までまたさらに約8ヶ月かかります。

03.png

 

学習スピードには個人差があります。学習スピードを左右する要素としては次のようなものが挙げられます。

·         日常的に日本語を使うような日本語環境にあるのかどうか。

·         母語が漢字か否か。

·         言語の学習が得意か否か。

·         自宅学習の時間が取れるか否か。

·         日本語の必要性

·         しっかりした動機が、目標があるか否か。

·         定期的に、かつ、継続して日本語のレッスンを受けられるか否か。

·         レッスンとレッスンの間を空けすぎずに適度な頻度でレッスンを受けられるか否か。

【学習密度】
レベルが上がるほど、8ヶ月間の学習内容、学習量は多くなって行きます。

【N2まで】
N3からN2までも8ヶ月となっていますが、実際には1年、2年かかる方もいます。N3からN2まではかなりの自己学習時間が必要になるからです。

【N1まで】
N2からN1までは内容的にはN3からN2までと同じようなことをより高いレベルで学習して行きます。N1受験対策として的を絞るようなことがしにくいため、学習すべき内容が多く、かなりの自己学習時間が必要です。合格まで数年かかることもあります。

07. JLPTを目指して学習する場合には具体的にどのようにしたらいいでしょうか。

[答] まず、面接によるレベルチェックを行い、現在のレベルを把握した上で今後の目標を定めて学習プランを作ります。

面接では

·         学習履歴

·         現在の日本語環境

·         漢字レベル

·         文法レベル

·         会話力
などをチェックします。

現在の状態となぜそのような状態になっているかを学習者ご本人にも認識していただいた上で今後の学習方針を決めていきます。

N5, N4を目標にする場合は特にそれだけに的を絞って学習することができないので、通常の初級のカリキュラムをベースに学習を進めていきます。

N3, N2, N1は次のようなプランをベースに調整します

04.png 

JLPT Study Plan – N3

05.png

JLPT Study Plan – N2

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JLPT Study Plan – N1

08. JLPTを目標にすれば日本語が上達しますか。

[A] JLPTのための学習で理解力が高まり、日本語の基礎的な力がつきますが、会話力や作文力が伴わないことが多くあります。

JLPTを目標にする場合は短期間で無理をして受験しようとすると知識ばかりを詰め込もうとして使う練習がどうしても疎かになります。
時間的に余裕を持ったプランを作ってJLPTを目標にすることをお勧めします。

09. 日本語を使って仕事ができるのはどのレベルですか。

[A] 仕事の内容にもよりますが、やはり日本語で顧客とのやり取りをするとなるとN1、N2が目安になります。ただし、N1、N2を持っているからといって実際にそのレベルの日本語がうまく使えるとは限りません。
たとえば、初級の部分だけを学校で習ってその後は独学でN2やN1に合格してしまう方も多くいらっしゃいます。その場合、初級文法の運用練習と応用である中級の部分が抜けたような状態で、上級であるN2, N1に知識だけで合格してしまっているので会話ができないとか、文章に誤りが多いとか、簡単な応対はできるが複雑なことを言おうとすると何を言っているのかわからない、というようなことがよくあります。特に漢字圏の方の場合、このようなケースが多く見られます。
極端ですが、「N2よりもN1のほうが漢字が多いのでやさしい」と言っていた漢字圏の方もいっらしゃったほどです。